「バイオリンを弾いてみたい!」
そう思ったとき、最初に気になるのが、
「何をそろえればいいの?」
「どのくらいの値段の楽器を買えばいい?」
「初心者セットでも大丈夫?」
「子どものバイオリンはどう選ぶの?」
ということではないでしょうか。
バイオリンは、楽器本体だけを用意すればすぐに始められるわけではなく、演奏のためにいくつか必要なものがあります。
とはいえ、最初から高価なものをたくさんそろえる必要はありません。
今回は、これからバイオリンを始める方に向けて、最初に必要なものと、楽器選びの基本をご紹介します。

バイオリンを始めるために必要なもの
まず用意したいのはこちらです。
- バイオリン本体
- 弓
- ケース
- 松脂
- 肩当て
- チューナー
- 指板シールまたは指板テープ(おすすめ)
- 譜面台
初心者向けのセットを購入すると、バイオリン・弓・ケース・松脂などが一式になっていることもあります。
それぞれ簡単に見ていきましょう。

1.バイオリン
当然ながら、まず必要になるのがバイオリン本体です。
バイオリンには数千円程度のものから、数十万円、数百万円、それ以上のものまであります。
「初心者だから、とにかく安いものでいいのでは?」
と思う方も多いのですが、少しだけ注意が必要です。
数万円〜30万円程度までは、価格と性能がある程度比例します
もちろん楽器には個体差があるので、
「高ければ必ずこちらの方が良い音」
と単純には言えません。
ただ、初心者向け〜中価格帯くらいまでは、価格が上がるにつれて、
- 音の鳴らしやすさ
- 音の響き
- 弓に対する反応
- 作りや材料
- 調整の精度
などが良くなる傾向があります。
特に私が大切だと感じるのが、音を鳴らしたときのレスポンスです。
弓を動かしたときに、
「こう弾いたら、こういう音が出た」
という反応を、楽器がきちんと返してくれること。
きれいに弾けたときにはきれいな音が鳴り、弓の使い方を変えると音も変わる。
そうした経験は、
「もっといい音を出してみたい」
という上達意欲にもつながります。
初心者だからこそ、ある程度素直に音が返ってくる楽器を使うメリットがあります。

安いバイオリンから始めても大丈夫?
もちろん、
「まずはバイオリンという楽器に触れてみたい」
「構造や扱い方に慣れたい」
「続けられそうか試してみたい」
という段階であれば、比較的安価な楽器から始めるのもひとつの方法です。
一方で、大人の方が
「これから長く楽しめる趣味にしたい」
と考えている場合は、個人的には7〜10万円程度以上をひとつの目安にするとよいと思います。
弦楽器専門店で、きちんと調整された新品の楽器を探す場合も、このあたりから選択肢が増えてきます。
無理をして高価なものを買う必要はありませんが、
長く使うつもりなら、最初からある程度きちんとした楽器を選ぶ
というのは十分価値のある選択です。

どこで買うのがおすすめ?
一番おすすめなのは、弦楽器専門店で実際に楽器を見て選ぶことです。
バイオリンは、同じメーカー・同じモデルでも個体差があります。
実際に弾き比べてみると、
「こちらは明るく鳴る」
「こちらは柔らかい」
「こちらの方が少ない力でも音が返ってくる」
など、意外と違いがあります。
また、バイオリンは駒・魂柱・ペグ・弦高などの調整によっても弾きやすさが大きく変わります。
ピアノやギター、楽譜などを幅広く扱う総合楽器店にもバイオリンはありますが、できれば弦楽器を専門的に扱うお店で調整された楽器を選ぶのがおすすめです。

ネットや中古で探すのもひとつの方法
一方で、
「メーカーやモデルをある程度決めて、ネットや中古で探す」
という方法もあります。
たとえば初心者向けでは、カルロ・ジョルダーノなどは、価格と音の反応のバランスがよく、お子さまの最初の楽器としても候補にしやすいと思います。
ただし、フリマアプリやネットオークションの場合は、写真だけでは楽器の状態を判断しにくいのが難しいところです。
すでに習っている先生がいる場合や、これから習う予定がある場合は、購入前にバイオリン講師へ相談することを強くおすすめします。
先生によって楽器選びの考え方もありますし、実際に本人の身体や手の大きさを見た上で選定してもらうこともできます。

2.弓
バイオリンの音を鳴らすために必要なのが弓です。
初心者向けセットでは、バイオリン本体と一緒に付属していることも多いです。
弓には馬の毛が張られていて、その毛で弦をこすることで音を鳴らします。
演奏前には弓の毛を適度に張り、演奏後にはまた緩めます。
具体的な扱い方は、次回の記事で詳しくご紹介します。

3.松脂
新品の弓は、そのまま弦をこすってもほとんど音が鳴りません。
そこで必要になるのが松脂(まつやに)です。
松脂を弓の毛に塗ることで摩擦が生まれ、弦を振動させられるようになります。
ただし、たくさん塗ればよいわけではありません。
塗り方や量についても、第2回で扱います。

4.肩当て
バイオリンを肩の上で安定させるために使うのが肩当てです。
定番としてよく使われているのがKUN(クン)ですが、
KUNなら誰にでも必ず合う、というわけではありません。
首の長さや肩の形、身体の使い方によって、合う高さや形は変わります。
肩当てが合っていないと、
「落としそうだから首でぎゅっと挟む」
といった癖につながることもあります。
楽器を選ぶ際に、講師と一緒に肩当ても見てもらえると安心です。

5.ケース
バイオリンはとても繊細な楽器です。
持ち運ぶときだけでなく、自宅で保管するときにもケースを使用します。
初心者セットではケースが付属していることが多いので、
- 楽器が中で大きく動かない
- 弓を安全に収納できる
- きちんと閉められる
ことを確認しておけば十分です。
弾き終わったら、机や椅子の上へ置きっぱなしにせず、基本的にはケースへ戻しましょう。

6.チューナー
バイオリンを弾く前には、4本の弦を正しい音程に合わせる調弦(チューニング)を行います。
バイオリンの弦は、低い方から
G・D・A・E
日本語では、
ソ・レ・ラ・ミ
です。
初心者のうちは、自分の耳だけで合わせるのは難しいので、チューナーを使って大丈夫です。
クリップ式チューナーもありますが、最近はスマートフォンのチューナーアプリもとても便利です。
私自身、レッスンでも生徒さんにおすすめすることがあります。
スマホなら自宅練習でもすぐ確認でき、持ち忘れもありません。

7.指板シール・指板テープ
初心者の方には、指板シールまたは指板テープも用意することをおすすめします。
バイオリンには、ギターのようなフレットがありません。
そのため、
「ここを押さえれば必ずこの音」
という目印がありません。
最終的には、自分の耳で音程を判断できるようになることが目標です。
ただ私は、最初の段階では正しい位置を知るためのガイドを使ってよいと考えています。
まず目印のある位置で正しい音程を何度も聞き、
「この響きが正しい」
という感覚を少しずつ耳に覚えさせていきましょう。

8.譜面台
自宅で練習するなら、譜面台もぜひ用意しておきたいものです。
机の上へ楽譜を置いて練習すると、どうしても下を見る姿勢になってしまいます。
バイオリンは姿勢や楽器の角度が演奏に大きく関わるため、自然な姿勢のまま楽譜を見ることのできる高さに譜面台を置きましょう。
折りたたみ式の簡単なものでも十分です。

子どものバイオリンは「身長」より「腕の長さ」で選ぶ
お子さまの場合、大人用の4/4サイズではなく、
- 1/16
- 1/10
- 1/8
- 1/4
- 1/2
- 3/4
- 4/4
などの分数バイオリンを使います。
ここで大切なのが、
サイズ選びの基準は、単純な身長ではなく腕の長さ
ということです。
同じ年齢・同じ身長でも腕の長さには個人差があります。
そのため、
「5歳だからこのサイズ」
というように、年齢だけで決めるのはおすすめできません。
少し大きめの楽器で始めるのはおすすめしません
「どうせすぐ大きくなるから、ひとつ上のサイズを買っておこう」
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、バイオリンではこれはあまりおすすめできません。
サイズが大きすぎると、
- 左腕が伸びきる
- 指が届きにくい
- 楽器を安定して支えにくい
- 肩や首に力が入る
- 弓を動かしにくい
といった問題が起こりやすくなります。
今の身体に合ったサイズを使うことが、きれいな構え方につながります。
現在のサイズを使える期間が短そうなら、レンタルを利用するのもよい選択です。
また、良質な分数楽器は中古でも需要があるため、リセールを考えて購入する方法もあります。
そして、お子さまにとって
「これは自分のバイオリン」
と思えること自体が、練習へのモチベーションにつながることもあります。
購入・レンタルのどちらにもメリットがありますので、お子さまの成長や予算に合わせて選んでみてください。

最初の楽器ほど、先生に相談してほしい
すでにバイオリンを習っている、またはこれから習う先生が決まっている場合は、ぜひ楽器を購入する前に担当講師へ相談してください。
楽器本体だけでなく、
- サイズ
- 肩当て
- 弓
- 指板シール
- 購入かレンタルか
なども含めて相談できます。
特にネットやフリマアプリで購入する場合は、初心者の方が写真だけで状態を判断するのは難しいため、購入前に一度見てもらうと安心です。

バイオリンを始めるための持ち物チェックリスト
最後にまとめます。
最初に用意したいもの
□ バイオリン
□ 弓
□ ケース
□ 松脂
□ 肩当て
□ チューナーまたはチューナーアプリ
□ 指板シールまたは指板テープ
□ 譜面台
そのほか、
□ 楽器を拭くクロス
□ 楽譜・教本
□ メトロノームまたはメトロノームアプリ
などもあると便利です。
最初からすべてを高価なものでそろえる必要はありません。
大切なのは、
今の自分の目的や身体に合ったものを選ぶこと。
そして、
弾いたことに対して、楽器がきちんと音で答えてくれる環境を用意すること。
だと思います。

次回は、バイオリンを弾く準備をしてみましょう
道具がそろったら、次はいよいよケースを開けて、演奏できる状態にしていきます。
次回の
「バイオリンを始めよう!第2回|バイオリンの取り扱いと、弾く前の準備」
では、
- ケースからの安全な取り出し方
- 弓の張り方
- 松脂の塗り方
- 肩当ての付け方
- 調弦
- 演奏後のお手入れ
まで、順番にご紹介します。

独学でバイオリンを始めたい方へ
この「バイオリンを始めよう!」シリーズでは、
初めてバイオリンを触るところから、簡単な曲を1曲弾けるようになるまで
を順番にご紹介していきます。
まずは自分でやってみたい、という方にもできるだけ分かりやすくお伝えしていきます。
一方で、バイオリンは、
「自分では合っているつもりだけれど、実際には少し違う」
ということがとても起こりやすい楽器です。
おとのもり音楽教室では、これから初めてバイオリンを始める方はもちろん、独学でスタートした方のレッスンも歓迎しています。
「ネットで見つけたこの楽器を買って大丈夫?」
「楽器は用意したので、最初の構え方だけ見てほしい」
「一人で練習してみたけれど、一度フォームを確認してほしい」
といったご相談も大丈夫です。
自分に合った楽器と出会って、少しずつバイオリンを楽しんでいきましょう。